「社会人になったし、将来のためにしっかり貯金しなきゃ」
「でも、お給料もそんなに多くないし、家賃を払うだけで精一杯……」
新社会人として新たな生活をスタートさせると、同時にのしかかってくるのが「お金の不安」です。
結論から言います。今の時代、「銀行に貯金だけ」をしていても、あなたの資産は守れません。
- 物価上昇(インフレ):モノの値段が上がり、現金の価値が目減りする
- 超低金利:銀行に預けてもお金は増えない
- 税金・社会保険料:給料が上がっても手取りは増えにくい
これらが、「真面目に貯金しているのに将来が不安」という現状を作り出しています。
この記事では、FP(ファイナンシャルプランナー)視点で、新社会人が最初に身につけるべき「お金を守りながら増やす仕組み(家計管理+投資)」を、具体的な数字やアクションプランを交えて徹底解説します。
難しい専門用語は使いません。今日から、お金に振り回されない人生の第一歩を踏み出しましょう。
第1章:現実を直視せよ!貯金だけではお金が減っていく「3つの理由」

多くの人が「投資は怖い」「貯金が一番安全」と思っています。しかし、現代においてその常識はすでに崩れています。なぜ「貯金だけ」ではダメなのでしょうか?
1. インフレでお金の「実質価値」が下がる
インフレ(インフレーション)とは、モノの値段が上がり続けることです。
例えば、今の100万円で買える車が、10年後に110万円になっていたとします。もしあなたが100万円をタンス預金していたら、10年後にはその車を買えません。額面は「100万円」のままですが、「買えるモノの量」が減ってしまったのです。
日本政府(日銀)は「年2%の物価上昇」を目標にしています。もし毎年2%ずつ物価が上がると、現在の100万円の価値は、20年後には実質「約67万円」にまで下がってしまいます。

2. 銀行預金では増えない
バブル期(1990年頃)の定期預金金利は「年6%」もありました。この頃は、銀行に預けておくだけで12年でお金が倍になりました。
しかし現在はどうでしょう?
大手銀行の普通預金金利は「0.001%〜0.02%」程度です。100万円を1年間預けても、利息はたったの10円〜200円(税引前)。ATMの手数料を1回払えばマイナスです。
3. 給与明細の「手取り」の現実
新社会人になって初めて給与明細を見たとき、「こんなに引かれるの!?」と驚きませんでしたか?
- 厚生年金
- 健康保険
- 雇用保険
- 所得税
- 住民税(2年目から)
これらを合わせると、額面の約20%〜25%が天引きされます。日本の社会保険料は年々上昇傾向にあり、今後も「働いても手取りが増えにくい」状況は続くと予想されます。
「汗水垂らして働いて、残りを貯金する」だけでは、インフレと税金に負けてしまいます。だからこそ、「お金自身に働いてもらう(投資)」という発想が必要不可欠なのです。

第2章:まずは「守る力」!自動でお金が貯まる家計管理術

投資をするには「種銭(たねせん)」が必要です。まずは家計のバケツの穴を塞ぎ、確実にお金が残る仕組みを作りましょう。
1. 家計管理のゴールデンルール「2:6:2」

「余ったら貯めよう」と考えている人は、一生お金が貯まりません。人間は、手元にあるお金をあるだけ使ってしまう生き物だからです。
おすすめの予算配分は「2:6:2の法則」です。
| 内訳 | 割合 | 手取り20万の場合 | 用途 |
|---|---|---|---|
| 貯蓄・投資 | 20% | 4万円 | 給料日に別口座へ即移動 (先取り貯蓄) |
| 生活費 | 60% | 12万円 | 家賃、食費、光熱費、通信費など |
| 予備・自由費 | 20% | 4万円 | 交際費、趣味、被服費、自己投資 |
この比率を守るだけで、年間で手取りの20%(手取り20万なら年間48万円)が確実に貯まります。
2. 固定費の削減は「聖域なし」でやる

節約というと「電気をこまめに消す」「安い食材を求めてスーパーをはしごする」といった努力を思い浮かべがちですが、これらは効果が薄く、ストレスが溜まります。
やるべきは「固定費」の削減一択です。一度手続きすれば、効果が永続します。
① 通信費(スマホ代)
大手キャリアで月8,000円払っていませんか?格安SIM(ahamo、LINEMO、UQ mobile、楽天モバイルなど)に変えれば、月3,000円以下になります。
- 効果:月5,000円 × 12ヶ月 = 年間6万円の節約
② サブスクリプション
動画配信、音楽、アプリ……「初月無料だから」と登録して放置していませんか?「全く使っていない月額500円のサービス」を解約するだけで、年間6,000円浮きます。
③ 不要な民間保険
新社会人のもとに保険の勧誘が来ることがありますが、独身の若者に「高額な死亡保障」や「医療保険」は基本的に不要です。日本には「高額療養費制度」などの手厚い公的保険があります。不安なら、数百円〜2,000円程度の「県民共済」などで十分です。
3. 家計簿は「自動連携」一択

「レシートを貼る家計簿」は続きません。家計簿アプリ(マネーフォワード ME や Zaim)を使いましょう。銀行口座やクレジットカードを連携させれば、「何にいくら使ったか」を勝手にグラフ化してくれます。
\ 家計の「見える化」が第一歩 /
第3章:増やす力を育てる!新社会人のための「ほったらかし投資」

家計の無駄を削り、月々の「余剰資金」ができたら、いよいよ投資の出番です。ここでのキーワードは「長期・積立・分散」です。
ステップ0:投資の前に「生活防衛資金」を確保せよ
⚠️ これだけは約束してください
貯金がゼロの状態で投資を始めてはいけません。投資したお金は、引き出したいタイミングで暴落している可能性があります。
病気、怪我、冠婚葬祭、急な引越し……人生のトラブルに対応できる「現金」を持っておく必要があります。
- 生活防衛資金の目安: 生活費の3ヶ月〜6ヶ月分
- (生活費が月15万なら、45万〜90万円)
この金額が貯まるまでは、投資よりも「貯金」を優先してください。あるいは「月5,000円だけ投資、残りは貯金」という並走スタイルでもOKです。
ステップ1:最強の非課税制度「新NISA」を使う

投資を始めるなら、まずは国の制度である「新NISA(ニーサ)」を使いましょう。
通常、投資で得た利益には約20%の税金がかかります。
(例:10万円儲かったら、2万円が税金で引かれ、手元に残るのは8万円)
しかし、新NISAなら利益が全額非課税になります(10万円がまるまる受け取れます)。これを使わない手はありません。
ステップ2:買うべき商品は「インデックスファンド」

「どの会社の株を買えばいいの?」と迷う必要はありません。初心者の正解は、「世界中の企業に分散投資できるパック商品(インデックスファンド)」を買うことです。
特定の1社に投資すると、その会社が倒産すれば資産はゼロになります。しかし、世界中の優良企業数千社に分散投資しておけば、そのリスクを極限まで減らせます。
【おすすめの投資信託(銘柄例)】
- eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
これ1本で、日本を含む世界中の企業に投資できます。「世界経済は成長し続ける」と信じるならこれ。 - eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
Apple、Amazon、Googleなど、アメリカの最強企業500社に投資します。過去の実績は全世界株式よりも高いです。
ステップ3:ネット証券で「クレカ積立」を設定する

証券会社は、手数料が圧倒的に安い「ネット証券」を選びましょう。窓口のある銀行や証券会社に行くと、手数料の高い商品を勧められることがあるので注意が必要です。
おすすめは以下の2強です。
- 楽天証券: 楽天カードで投資信託を買うとポイントが貯まる。画面が見やすく初心者人気No.1。
- SBI証券: ネット証券最大手。三井住友カード等での積立(Vポイント)がお得。
毎月買う金額を設定(例:月3万円)し、クレジットカード決済にしておけば、あとは「ほったらかし」でOKです。株価を毎日チェックする必要もありません。
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第4章:もし月3万円を20年続けたら?驚きのシミュレーション

「月々数万円の投資で、本当に将来が変わるの?」そう思う方のために、複利(利息が利息を生む効果)のシミュレーションを見てみましょう。
【条件:毎月3万円を積立・年利5%で運用できた場合】
- ▼ 10年後
元本:360万円 → 約465万円(+105万円) - ▼ 20年後
元本:720万円 → 約1,233万円(+513万円) - ▼ 30年後
元本:1,080万円 → 約2,496万円(+1,416万円)
なんと、30年後には投資元本よりも利益のほうが大きくなっています。「お金がお金を生む」状態とはまさにこのことです。
もちろん、投資なので減る時期もありますが、過去の歴史を見ると、15年〜20年以上の長期で保有すれば、プラスになる確率は非常に高いことが証明されています。
新社会人のあなたにとって、最大の武器は資金力ではなく「時間」なのです。

第5章:よくある質問(Q&A)
Q. 投資はいくらから始めればいいですか?
A. ネット証券なら「100円」から可能です。
まずは月1,000円〜3,000円など、痛手にならない金額から始めて、「値動き」に慣れるのがおすすめです。
Q. 暴落して資産が減るのが怖いです。
A. 暴落時こそ「安く買えるチャンス」です。
積立投資(ドル・コスト平均法)をしている場合、株価が下がると「同じ金額でたくさんの口数」を買えます。その後、株価が回復したときに利益が大きく膨らみます。一番の失敗は、暴落に怖くなって投資をやめてしまうことです。
Q. iDeCo(イデコ)はやったほうがいいですか?
A. まずは「新NISA」を優先しましょう。
iDeCoは節税メリットが大きいですが、「原則60歳まで引き出せない」という強力なロックがかかります。結婚、住宅購入、留学など、ライフイベントが多い20代は、いつでも資金を引き出せる新NISAの枠を埋めることを最優先にしてください。
まとめ:今日から「小さな行動」を始めよう
ここまでの内容をまとめます。
- 現状認識:貯金だけではインフレと税金に負ける。
- 守る:固定費を見直し、手取りの20%を先取り貯蓄する。
- 準備:生活防衛資金(生活費の3〜6ヶ月分)を現金で確保する。
- 攻める:余剰資金で「新NISA」口座を開き、インデックスファンドを積み立てる。
お金の知識(マネーリテラシー)は、知っているか知らないかだけで、生涯で数千万円の差がつきます。
ここまで読んだあなたは、すでに上位数%の知識を持っています。あとは「やるか、やらないか」だけです。
🚀 今日できるアクション
- 家計簿アプリ(マネーフォワードなど)をインストールする
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未来の自分が「あの時始めてくれてありがとう」と言えるように、今日から小さな一歩を踏み出しましょう。

